アシュワガンダ × 免疫抑制薬 注意(ヒトデータあり)
要約
アシュワガンダには、免疫(体を守る働き)を高める方向のヒトデータがあります。健康な成人を対象にした試験では、エキス60mgを1日量として30日間続けたところ、免疫グロブリン(抗体)、サイトカイン(免疫の指令物質)、T細胞・B細胞・NK細胞といった免疫の指標が有意に増えました。免疫を抑える治療をしている人では、この働きが治療と反対方向に働くおそれがあります。実際に、腎移植後にタクロリムスなどの免疫抑制薬を使っていた69歳の男性が、アシュワガンダを始めて約2週間後に急性拒絶反応(移植した臓器を免疫が攻撃する反応)を起こし、移植腎を取り出す手術が必要になった症例が報告されています。ただし、この症例の因果関係は報告した医師らの推定であり、証明されたものではありません。臓器移植後や自己免疫疾患で免疫抑制薬を使っている人は、自己判断で使わず、必ず主治医に相談してください。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではありません。
ヒトでのエビデンス
あり(健康成人で免疫指標の上昇を示す無作為化比較試験と、腎移植患者での急性拒絶反応の症例報告。併用を計画的に調べた試験はなし)
根拠
Tharakan A et al. J Clin Med. 2021;10(16):3644. PMID: 34441940(健康成人、各群12人、エキス60mg/日・30日間でIgA・IgM・IgG、IFN-γ・IL-4、T細胞・B細胞・NK細胞が有意に増加)。Sriperumbuduri S et al. Kidney Int Rep. 2020;5(12):2375-2378. PMID: 33305135(腎移植患者69歳男性。タクロリムス・ミコフェノール酸・プレドニゾン使用中で移植後2年以上安定していたが、アシュワガンダ開始約2週間後に急性拒絶反応を起こし移植腎摘出。因果は著者らの推定と明記)。NCCIHのアシュワガンダ解説も、免疫抑制薬との相互作用の可能性と、自己免疫疾患のある人への注意を挙げている。用量の補足: Sriperumbuduri S et al. Kidney Int Rep. 2020;5(12):2375-2378. PMID: 33305135(腎移植患者の使用量は1gと記載。著者らは通常処方量として挙げた4~6gより少ない量だったと述べている。製品の形態・規格の記載はなし)。Tharakan A et al. J Clin Med. 2021;10(16):3644. PMID: 34441940(Shoden、ウィタノリド配糖体35%規格、60mg/日・30日間)。
- 最終確認日
- 2026-11-01
研究の条件
免疫指標の上昇が示された試験(Tharakan et al. 2021)のエキスは60mg/日と少量に見えるが、ウィタノリド配糖体35%に規格化された根+葉エキス(Shoden)であり、通常の根エキス600mgとmg数だけでは比べられない。この35%という数値は、販売側の表示だけではなく、試験で使われた製剤の規格として論文に記載された数値です。拒絶反応の症例(Sriperumbuduri et al. 2020)では、使用量は1gと報告され、開始から約2週間後に急性拒絶反応が起きました。著者らは、その1gは通常処方される量として挙げた4~6gより少ないと述べていますが、症例の製品の形態・規格(エキスか粉末か、ウィタノリド含量)は論文から特定できないため、この1gをShoden 60mgや根エキス600mgとmg数で比べることはできません。
ふだんの量では
免疫の試験で使われたShoden規格品は、市販でも60mg級の低用量製品として売られています。『60mgだから作用が弱い』という読み方はできません。逆に、規格の分からない製品では、試験品と同じ免疫への作用が出るかどうか自体が分かりません。