アシュワガンダ × 肝臓に負担のかかる薬 注意(ヒトデータあり)
要約
アシュワガンダ自体が原因と考えられる肝障害(肝臓の働きが悪くなること)が、ヒトで繰り返し報告されています。代表的な症例集積では5人全員が、使用開始から2〜12週後に黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)や強いかゆみ、吐き気などが出て、肝障害の型は胆汁うっ滞型(胆汁の流れが滞るタイプ)または混合型でした。4人では中止後1〜5か月で検査値が正常に戻りましたが、かゆみや黄疸が5〜20週続いた人もいます。肝臓に負担のかかる薬と重ねた場合に肝障害が増えることを直接示した試験はありませんが、負担が重なるおそれがあり、肝障害が起きたときにどちらの影響かも分かりにくくなります。使っている間に黄疸、強いかゆみ、尿の色が濃くなる、強いだるさが出たら、アシュワガンダを中止して受診してください。もともと肝臓の病気のある人は、使う前に処方医・薬剤師に相談してください。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではありません。用量については、450~1,350mg/日と報告された症例もあれば、実量が論文に記載されていない症例(日本の報告)もあります。
ヒトでのエビデンス
あり(アシュワガンダ自体による肝障害の症例集積と各国の症例報告。肝臓に負担のかかる薬との併用で増えることを直接示したデータはなし)
根拠
Björnsson HK et al. Liver Int. 2020;40(4):825-829. PMID: 31991029(アイスランドと米国の薬物性肝障害ネットワークの5例。発症までの期間2〜12週、全例に黄疸、胆汁うっ滞型または混合型、肝不全はなし、4例で1〜5か月以内に正常化。製品の成分分析でアシュワガンダを確認)。Inagaki K et al. Kanzo. 2017;58:448-454(日本からの最初の報告。20歳男性、個人輸入したアシュワガンダを複数の抗不安薬と合わせて使用し、長引く肝内胆汁うっ滞を伴う肝障害。1日量の実量は論文に記載がなく、分かっているのは発症の約1か月前に用量を2~3倍に増やしたという経過だけである。複数の抗不安薬も自己判断で併用しており、解釈には注意が必要。NIH ODSのアシュワガンダ専門職向けファクトシートで引用)。LiverTox(米国国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所、2024年12月3日更新): アシュワガンダの肝障害の起こしやすさの評価はB(臨床的に明らかな肝障害の原因となる可能性が高い)。Bokan G et al. Pharmaceuticals. 2023;16(8):1129(症例の総説。肝移植に至った症例を含む報告があることを整理)。成分自体の有害事象を根拠とする記録であり、併用そのものの直接データではないため、その旨を明記した。用量の補足: Björnsson HK et al. Liver Int. 2020;40(4):825-829. PMID: 31991029(アイスランド3例の1日量は450~1,350mgの幅でのみ本文に記載。用量はラベル表示に基づき実測ではないと明記。Inagaki症例については『用量は報告されていない(The dose of ashwagandha was not reported)』『発症の約1か月前に用量を2~3倍に増やした』と記載)。NIH ODSファクトシートもInagaki症例を『使用部位と用量は特定されていない(plant part and dose not specified)』と整理している。既存の根拠欄にあった『推奨量の2倍超で約1か月使用』という記述は、実量が分かった話のように読めるため、2026-11-01の用量補強で上記のとおり訂正した(文面変更分のため下書きのまま薬剤師確認に回す)。LiverTox(NIDDK、2024-12-03更新): 市販品は150~600mgを1日1~3回という形が多い。
- 最終確認日
- 2026-11-01
研究の条件
肝障害の症例で報告された用量は450~1,350mg/日(NIH ODSファクトシートによる症例のまとめ)。発症は開始後2~12週が典型的とされる。症例集積(Björnsson et al. 2020、5例)の内訳は次のとおりです。アイスランドの3例は、まとめて450~1,350mg/日の幅でしか原著本文に示されておらず、1人ずつの正確な用量は本文では分けられていません。米国の症例では、少なくとも1例で製品がアシュワガンダ500mg含有と確認されています。発症までの期間は症例ごとに5日~116日と幅があります。用量は製品ラベルの表示に基づく記録で、実際に飲んだ量を測ったものではない、と著者らが明記しています。日本のInagaki et al. 2017の症例は、1日量の実量(mg/日)は論文に記載なしです。分かっているのは、発症の約1か月前に用量を2~3倍に増やしたという経過だけで、増やす前の量も不明です。
ふだんの量では
発症した人の用量は、市販品の通常の1日量の範囲と重なっている。量が少なければ起きない、とは言えないタイプの肝障害と考えられている。公的データベースLiverToxは、市販の根エキス製品は150~600mgのカプセル・錠剤を1日1~3回という形が多く、1日の合計量には幅があると整理しています。症例の450~1,350mg/日は、そのふだんの売られ方の範囲と重なります。