シナモン × 桂皮を含む漢方薬 一般的注意
要約
漢方薬の生薬「桂皮(ケイヒ)」はシナモンと近縁の樹皮で、クマリンを含みます。桂皮を含む漢方薬を飲んでいる方が、さらにカシア系シナモンのサプリを毎日取ると、クマリンの合計量が増えます。クマリンの1日の耐容上限は体重60kgの人で6mgで、カシア系シナモンは平均1gあたり約3mgを含むため、合計がこの目安を超えるおそれがあります。もっとも、桂皮を含む漢方薬の使用者を調べた研究では、多くの人のクマリン量がこの目安を超えていましたが、桂皮が原因と判断された肝機能の異常は見つかりませんでした。目安を超えたら必ず肝臓が悪くなる、という話ではありませんが、重ねて取る場合は処方医・薬剤師に伝えてください。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではありません。
ヒトでのエビデンス
あり(桂皮を含む漢方薬の使用者129人の後ろ向き調査。シナモンサプリとの併用を調べたものではない)
根拠
Iwata N et al. The relation between hepatotoxicity and the total coumarin intake from traditional Japanese medicines containing cinnamon bark. Front Pharmacol 2016;7:174. doi:10.3389/fphar.2016.00174(桂枝茯苓丸加薏苡仁など桂皮含有漢方を使う患者129人。クマリン摂取量の中央値0.113mg/kg/日、76%がTDI 0.1mg/kg/日を超過したが、桂皮が原因と判断された肝機能異常はなく、TDI以上・未満で異常の割合にも差がなかった。同処方のクマリン量は最大5.63mg/日、桂皮の煎じ薬1gあたりクマリン3.0mg)。クマリンの耐容上限: EFSA. EFSA Journal 2008;6(10):793。サプリ側の含有量: Wang YH et al. J Agric Food Chem 2013;61:4470-4476, PMID:23627682。この記録は食品・サプリのシナモンと漢方の桂皮の「クマリンの足し算」だけを扱い、桂皮そのものの薬効・適応とは切り分けている。重なりの実害がヒトで示されたわけではないため「一般的注意」とした。サプリ側含有量の実測内訳: Wang YH et al. J Agric Food Chem 2013;61:4470-4476, PMID:23627682(C. verum 0.017g/kg、C. cassia 0.310g/kg、C. burmannii 2.14g/kg(市販品3.99〜9.30g/kg)、C. loureiroi 6.97g/kg。米国のサプリ・食品のプロファイルはインドネシアカシアと推定)。漢方側の実測(桂皮煎じ1gあたり3.0mg)は Iwata N et al. Front Pharmacol 2016;7:174 の値で、BfRのカシア平均(約3mg/g)と同水準である。
- 最終確認日
- 2026-11-01
- 確認方法
- AIによる検証のうえ薬剤師が一括承認
研究の条件
漢方側のデータは後ろ向き調査で、対象は桂皮を含む漢方薬の使用者129人です。クマリン摂取量の中央値は0.113mg/kg体重/日(体重60kg換算で約6.8mg/日)で、76%が耐容上限0.1mg/kg/日を超えていましたが、桂皮が原因と判断された肝機能異常はありませんでした。対象処方のクマリン量は最大5.63mg/日、桂皮の煎じ薬1gあたりクマリン3.0mgと実測されています。シナモンサプリを足した人を調べた研究ではありません。
ふだんの量では
漢方薬の桂皮からだけでもクマリン量は耐容上限の前後に達しうるため、そこへカシア系シナモンサプリを毎日足すと総量はさらに増えます。サプリ側の含有量は実測で幅が広く、認証サンプルではカシア3種0.31〜6.97g/kg、米国市販のインドネシアカシアでは3.99〜9.30g/kgでした。BfRの平均値(1gあたり約3mg)で足すと1gごとに約3mgの上乗せになりますが、製品によってはそれより多くなります。セイロン系シナモン(実測0.017g/kg)ならクマリンの上乗せはごく少量です。