このサイトは、薬の飲み合わせについて、添付文書や論文をもとに確かめた情報をお伝えするものです。あなたの体の状態や、ほかに飲んでいる薬のことまでは分かりません。自己判断で薬を中止・変更せず、気になったら処方医・薬剤師に相談してください。処方には、添付文書には書かれていない、その人の状態に合わせた理由があることも多いです。

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シナモン × ロスバスタチン(商品名: クレストール) 注意(ヒトデータあり)

要約

ロスバスタチンを長く飲んでいた73歳の女性が、シナモンのサプリを飲み始めて約1週間で急性の肝炎(肝臓の炎症)になったという症例報告があります。両方をやめると回復し、ロスバスタチンだけを再開しても肝臓の数値は上がらなかったため、シナモンとの組み合わせが疑われました。背景には、カシア系シナモンに多いクマリンという成分の肝臓への負担があります。クマリンの1日の耐容上限(毎日取り続けても問題ないとされる量の目安)は体重1kgあたり0.1mgで、体重60kgの人なら1日6mgです。カシア系シナモンは平均で1gあたり約3mgのクマリンを含むため、約2g/日でこの目安に達する計算になり、サプリで毎日まとまった量を取ると肝臓への負担が重なるおそれがあります。スタチン系の薬を飲んでいる方は、シナモンのサプリを始める前に処方医・薬剤師に相談してください。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではありません。なお、この症例報告にはシナモンサプリの量が書かれていないため、「何gから危ない」という線引きはこの症例からは引けません。

ヒトでのエビデンス

あり(症例報告1件)

根拠

Brancheau D, Patel B, Zughaib M. Do cinnamon supplements cause acute hepatitis? Am J Case Rep 2015;16:250-254, PMID:25923145(73歳女性。ロスバスタチン40mg/日を数か月服用中にシナモンサプリを開始し約1週間で急性肝炎。両剤中止で回復し、スタチン再開後は再発なし。著者らは組み合わせによる肝炎と判断)。クマリンの耐容上限と含有量: EFSA. EFSA Journal 2008;6(10):793(TDI 0.1mg/kg体重/日を確認)。BfR. FAQ on coumarin in cinnamon and other foods(2012年更新。カシアの平均含有量は約3,000mg/kgで、体重60kgの成人はカシア約2g/日でTDIに達する。セイロン種の含有量はごく少ない)。実測でもセイロン種は微量、カシア種は実質的な量を含む: Wang YH et al. J Agric Food Chem 2013;61:4470-4476, PMID:23627682。他のスタチン系薬での症例は確認していません。用量不明の明記: Brancheau D et al. Am J Case Rep 2015;16:250-254, PMID:25923145 の原著にシナモンサプリの用量・種類の記載はない(二次報道も「how much cinnamon は報告されていない」と明記)。用量記載のある肝炎症例: Abraham K et al. Mol Nutr Food Res 2010;54:228-239, PMID:20024932 が紹介する23歳女性例(シナモン1〜2g/日・クマリン換算約3.3〜6.6mg/日を2か月摂取後に肝炎で入院。同値は Abraham 2010 を引用する Food Safety 2022;10:73-82, PMC9509535 でも確認)。含有量の実測内訳: Wang YH et al. J Agric Food Chem 2013;61:4470-4476, PMID:23627682(認証サンプル: C. verum 0.017g/kg、C. cassia 0.310g/kg、C. burmannii 2.14g/kg、C. loureiroi 6.97g/kg。米国市販 C. burmannii は3.99〜9.30g/kg。米国のシナモン食品・サプリの成分プロファイルはインドネシアカシアと推定)。クマリン医薬品データでは25mg/日のクマリンで一部の人に肝障害を否定できないとする専門家報告が Abraham 2010 に引用されているが、これは医薬品用量の話で食品・サプリの用量帯とは別である。

最終確認日
2026-11-01
確認方法
AIによる検証のうえ薬剤師が一括承認

研究の条件

症例のシナモンサプリの量と種類(カシアかセイロンか)は、論文に記載がありません(原著全文を確認しても用量の記載なし)。推測で量を埋めることはできません。またロスバスタチン40mg/日は日本の通常用量より多い高用量で、量が増えた時期とも重なっていたことが論文に書かれており、シナモンだけが原因と断定はできません。用量が分かっている別の肝炎症例として、カシアとみられるシナモンを1日1〜2g(クマリンに換算して約3.3〜6.6mg/日)2か月間取り続けた23歳の女性が肝炎で入院した報告があり、感受性の高い人では耐容上限(体重60kgの人で6mg/日)前後のクマリン量でも肝臓に影響が出る場合があることが示されています。ただしこの症例はスタチンとの組み合わせではありません。

ふだんの量では

料理のスパイスとしてふりかける量は試験・症例の場面とは異なり、BfRも香辛料として食べるシナモンによる肝障害の症例は報告されていないとしています。量の目安として、カシア系シナモンのクマリン含有量は実測で大きく幅があり、認証サンプルではセイロン種0.017g/kgに対し、カシア3種は0.31〜6.97g/kg、米国市販のインドネシアカシアでは3.99〜9.30g/kgでした。BfRの平均値(約3,000mg/kg=1gあたり約3mg)で計算すると、体重60kgの成人はカシア約2g/日で耐容上限6mg/日に達します。同じ2gでも製品の実測値によってはクマリン量が数倍違うことがあるため、「○gまで安全」とは言い切れません。セイロン種ならクマリンはごく微量です。

この記録は一般的な情報です。自己判断で薬を中止・変更せず、気になったら処方医・薬剤師に相談してください。処方には、添付文書には書かれていない、その人の状態に合わせた理由があることも多くあります。

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