パロキセチン × タモキシフェン(乳がん治療薬、商品名: ノルバデックス) 注意(添付文書)
要約
乳がんの薬タモキシフェンは、体の中でCYP2D6(薬を分解する酵素)によって効く成分(エンドキシフェン)に変わって初めてよく働きます。この薬はその酵素を強く止めるため、タモキシフェンの効き目が弱まるおそれがあり、添付文書の併用注意に載っています。大きな患者調査では、この薬をタモキシフェンと一緒に使った期間が長い人ほど乳がんによる死亡が増えたという報告がある一方、差がなかったとする研究もあります(両論併記)。これは服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではなく、併用している期間全体の問題です。タモキシフェンを自己判断で止めず、抗うつ薬の選び方を含めて主治医同士で相談される組み合わせです。エスシタロプラムやセルトラリンはこの酵素を止める力が弱く、この点がSSRI同士の大きな違いです。
ヒトでのエビデンス
あり(観察研究・薬物動態試験。結論は両論あり)
根拠
PMDA添付文書(パキシル錠5mg/10mg/20mg、グラクソ・スミスクライン、2025年12月改訂 第4版) 10.2併用注意に明記(本剤のCYP2D6阻害によりタモキシフェンの活性代謝物の血中濃度が減少するおそれ、併用により乳癌による死亡リスクが増加したとの報告)。観察研究:Kelly CM, et al. BMJ. 2010;340:c693. PMID:20142325:タモキシフェン治療中の女性2,430例のコホートで、パロキセチン併用期間の割合が25%・50%・75%増えるごとに乳がん死亡リスクが24%・54%・91%増加。他のSSRIでは増加なし。一方でリスク増加を示さなかった研究もある旨、海外添付文書にも併記されている
- 最終確認日
- 2026-10-30