ホエイプロテイン × レボチロキシン(商品名: チラーヂンS) 注意(ヒトデータあり)
要約
甲状腺ホルモンの薬レボチロキシンを飲んでいる人がホエイプロテイン製品を始めたあと、甲状腺の調節が崩れたという症例報告があります。125μgで安定していた人のTSH(甲状腺を働かせる指令の値)が1.6から12.5へ上がり、ホエイ製品をやめて6週間後には1.7に戻りました。TSHが上がるということは、薬の効きが弱くなっているおそれがあるという意味です。牛乳と一緒に飲んだ試験でも、レボチロキシンの吸収量(AUC)は約8%下がりました。実務の結論として、レボチロキシンは従来どおり空腹時に飲み、ホエイドリンクとは時間を大きくずらしてください。ホエイについての公式の決まりはありませんが、安全のため約4時間あけるのが目安です。時間をずらすことで対処できる飲み合わせです。ただし症例では、薬から約1時間半あけて飲んでいても影響が出たため、ホエイ製品を新しく始めた場合は、ずらすだけでなく次のTSH検査で確認することが大切です。
ヒトでのエビデンス
あり(ホエイ製品の症例報告1件と、牛乳との薬物動態試験)
根拠
Kumarathunga PADM, et al. Endocrinol Diabetes Metab Case Rep. 2021;2021:21-0070(PMID: 34280893): レボチロキシン125μgでTSH 1.6と安定していた34歳女性が、ホエイプロテイン配合製品(1回30g、タンパク質22g、朝食の30分後=薬からは約1時間半後)を毎日始めて約2か月後にTSH 12.5へ上昇。製品を中止し同じ用量を続けたところ6週間でTSH 1.7に回復。著者らはホエイ自体に加え、配合されていた大豆レシチン・パパイン等の添加物が関与した可能性も挙げており、ホエイ単独の作用と断定はできない。Chon DA, et al. Thyroid. 2018;28(4):454-457(PMID: 29589994): 健康成人10人でレボチロキシン1000μgを牛乳355mLと同時服用するとAUCが73.5から67.3へ有意に低下(約8%低下)。牛乳にはカルシウム約450mgとタンパク質が含まれ、ホエイだけの効果を分けた試験ではない。
- 最終確認日
- 2026-11-01
- 確認方法
- AIによる検証のうえ薬剤師が一括承認
研究の条件
症例の製品はホエイ濃縮物・分離物に添加物を含む配合製品で、1日1回30g。牛乳の試験は単回投与・高用量(1000μg)での薬物動態試験。
ふだんの量では
市販ホエイ1杯(タンパク質約20g)は症例の製品とほぼ同じ量。日常の量でも起こりうる話として扱う。