クロム × レボチロキシン(商品名: チラーヂンS) 注意(ヒトデータあり)
要約
ピコリン酸クロムと一緒に飲むと、レボチロキシン(甲状腺ホルモンの飲み薬)の吸収が下がることがヒトで示されています。健康成人7名の試験で、レボチロキシン1,000μgとピコリン酸クロム1mgを同時に飲むと、レボチロキシンの血中濃度の面積が約17%下がりました。濃度が下がった分だけ甲状腺ホルモンの効きが弱くなるおそれがあります。そのため、レボチロキシンを先に飲み、クロムとは時間をあけてください。レビューでは3〜4時間あけることが提案されています。時間をずらすことで対処できる飲み合わせです。
ヒトでのエビデンス
ヒトデータあり(健康成人7名の前向き試験1件のみ。小規模で、患者での検証はない)。
根拠
原著: John-Kalarickal J, Pearlman G, Carlson HE. New medications which decrease levothyroxine absorption. Thyroid 2007;17:763-765(DOI: 10.1089/thy.2007.0060)。健康成人7名がレボチロキシン1mgを単独/ピコリン酸クロム1mg同時/他剤同時で服用し、血清サイロキシンの濃度曲線下面積がクロム同時で有意に低下(レビューでの集計は約17%低下)。系統的レビュー: Wiesner A et al. Pharmaceuticals 2021;14:206(PMCID: PMC8002057)が同試験を引用し、3〜4時間あける対応を提案。チラーヂンSの添付文書の相互作用欄にクロムの名指しはないため、バッジはヒトデータに基づく注意とした。間隔の数値は添付文書ではなくレビューの提案であることを明記する。
- 最終確認日
- 2026-11-03
研究の条件
レボチロキシン1,000μg(ふだんの服用量より多い試験用量)とピコリン酸クロム1mgを同時に飲んだ条件。健康成人7名。
ふだんの量では
ふだんのレボチロキシンは1日25〜200μg、クロムのサプリは数十〜200μg程度で、試験よりどちらも少ない。量が少なくても吸収の競合は起こりうるため、量の大小より「時間をあける」ことが実務の結論になる。