ナイアシン × スタチン系薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬) 注意(添付文書)
要約
ニコチン酸(ナイアシンの一つの形)の薬の添付文書では、スタチン系薬(コレステロールを下げる薬)との併用で、腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症(筋肉が壊れて腎臓に負担がかかる重い副作用)が出やすくなることが注意されています。また大規模試験では、スタチンにナイアシン1.5〜2g/日を足しても心筋梗塞や脳卒中は減らず、感染症や出血、血糖の悪化などの重い副作用が増えました。つまり、コレステロール対策としてサプリの高用量ナイアシンをスタチンに自己判断で足す利益は確かめられていません。スタチンは中止せず、高用量ナイアシンを考えている場合は処方医・薬剤師に相談してください。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではありません。
ヒトでのエビデンス
あり(大規模ランダム化試験2件: AIM-HIGH、HPS2-THRIVE)
根拠
ナイクリン錠・散(ニコチン酸製剤)添付文書(2015年7月改訂・第5版)相互作用・併用注意: HMG-CoA還元酵素阻害剤(プラバスタチン等)との併用で腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすくなる旨を明記。AIM-HIGH Investigators. N Engl J Med. 2011;365:2255-2267(PMID: 22085343): 徐放性ナイアシン1500〜2000mg/日+シンバスタチンで主要心血管イベント16.4% vs 16.2%(HR 1.02)と利益なし。HPS2-THRIVE Collaborative Group. N Engl J Med. 2014;371:203-212(PMID: 25014686): ナイアシン2g+ラロピプラントで主要血管イベントは減らず(13.2% vs 13.7%)、糖尿病管理の悪化・新規糖尿病・感染症・出血などの重篤な有害事象が増加。HPS2-THRIVEはラロピプラント併用製剤の試験であり、増加分すべてがナイアシン単独の作用とは言い切れない点も明記する。
- 最終確認日
- 2026-10-31
- 確認方法
- AIによる検証のうえ薬剤師が一括承認
研究の条件
研究の条件: 医薬品としての徐放性ニコチン酸1.5〜2g/日を、スタチン治療中の動脈硬化性疾患の患者に足した試験。サプリの通常量での試験ではない。
ふだんの量では
ふだんの量では: ナイアシンの食事摂取の目安は1日14〜16mg(ナイアシン当量)程度で、サプリでも数十〜数百mgの製品が多い。試験の1.5〜2g/日とは大きな開きがあり、試験結果をそのまま少量サプリに当てはめることはできない。逆に、グラム単位の高用量製品では試験の条件に近づく。