ダパグリフロジン × 使用中止後の体重再増加(リバウンド) 注意(ヒトデータあり)
要約
この薬をやめると、減った体重の一部が戻り、血糖も上がる方向に戻ることが、試験データで示されています。大きな数字のもとになった解析は1型糖尿病の人(インスリン治療中)を対象にしたものです。2型糖尿病では、日本の小さい試験で、この薬をやめると体重・血圧・血糖の改善が元に戻る方向だったことが報告されています(内臓脂肪の減少は、やめた後も少し保たれていました)。その前提で数字を紹介します。1型糖尿病の解析では、この薬をやめた後の変化を1年あたりに換算すると、体重は平均3.75kg増え、HbA1c(血糖の指標)は0.99%上がると推定されました。やめる前後では、必要なインスリンの量も増えていました。GLP-1系の薬の中止後(減った分の約3分の2が戻る)ほど大きな話ではありませんが、「やめれば元に戻る方向に動く」のはこの薬でも同じです。この薬は糖尿病だけでなく心不全や腎臓病にも使われる薬で、やめることは体重や血糖だけでなく、心臓・腎臓への効き目を手放すことも意味します。戻りにくくする工夫として、治療中からタンパク質と筋力トレーニングで筋肉を守ること(この薬の「プロテイン(タンパク質サプリメント)」の記録で説明しています)、食事・運動の習慣を続けることが挙げられますが、完全に戻らない方法はありません。やめることを考えるときは、自己判断で決めず、処方医と計画を立ててください。
ヒトでのエビデンス
あり(1型糖尿病での試験プログラムの中止後解析+2型糖尿病での国内クロスオーバー試験)
根拠
DEPICTプログラム(DEPICT-1/-2)の中止後解析: Diabetes Ther. 2020;11(5):1135-1146(PMID: 32274678、DOI: 10.1007/s13300-020-00807-z)「Adverse Changes in HbA1c, Body Weight and Insulin Use in People with Type 1 Diabetes Mellitus Following Dapagliflozin Discontinuation in the DEPICT Clinical Trial Programme」: 1型糖尿病でインスリンにダパグリフロジンを上乗せしていた人のうち、中止した91人を解析(平均追跡209日)。中止後の年率換算の変化は、HbA1c +0.99%(95%CI 0.39〜1.59)、体重 +3.75kg(同1.65〜5.86)。中止の前後2週間でインスリンの1日量は、5mg群で+3.6単位、10mg群で+4.4単位増えていた。著者らは、中止そのものではなく試験終了で監視が緩んだ影響もありうる旨を述べている。2型糖尿病での国内データ: 日本の過体重の2型糖尿病を対象にした無作為化クロスオーバー試験(PMID: 28426260): ダパグリフロジン5mgを使う12週間と使わない12週間を比べ、使う期間に改善したHbA1c・血圧・体重・皮下脂肪面積は、やめると元に戻る方向だった一方、内臓脂肪面積と総脂肪量の減少はやめて12週後も一部保たれていた。小規模・短期間の試験である。
- 最終確認日
- 2026-11-01
- 確認方法
- AIによる検証のうえ薬剤師が一括承認
研究の条件
DEPICT解析は1型糖尿病・インスリン治療中の成人91人で、数字は年率換算の推定値。国内クロスオーバー試験は過体重の2型糖尿病・各期12週間と小規模。心不全、腎臓病で使う場合の中止後を直接調べたものではない。
ふだんの量では
戻る速さや量には個人差があります。「戻りにくい工夫」は戻る確率を下げる方向の話で、戻らない保証ではありません。