クランベリー × ワルファリン 注意(ヒトデータあり)
要約
クランベリーとワルファリン(血を固まりにくくする薬)の関係は、結果が食い違う古典的な論点で、両方の情報を併記します。ワルファリン治療中の70代男性がクランベリージュースを約6週間飲み続けた後にINR(血の固まりにくさの数値)が50を超え、消化管と心臓の周りの出血で亡くなったという報告があります。ただしこの方には、感染症で抗菌薬を使っていたこと、2週間ほとんど食べていなかったことなど、他の要因も重なっていました。また健康な男性12人の試験では、クランベリーを2週間とった後にワルファリンを飲むと、INRの上がり方が30%大きくなりました。ワルファリンで安定している患者30人の二重盲検試験では、クランベリージュース240mL/日を2週間飲んでもINRに意味のある変化はありませんでした。健康成人10人の試験でも、クランベリージュースはワルファリンの濃度や効き目を変えませんでした。まとめると、ふだんの量のジュースでは大きな影響はなさそうだという試験結果がある一方、大量・長期間の摂取や体の状態が悪いときの症例報告もあります。ワルファリンを使っている方がクランベリー製品を習慣的に多くとる場合は、自己判断せず処方医・薬剤師に伝えてください。絶対にダメという意味ではありません。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではありません。
ヒトでのエビデンス
あり(症例報告・無作為化試験の両方があり、結果が食い違う)
根拠
症例報告: Suvarna R, Pirmohamed M, Henderson L. Possible interaction between warfarin and cranberry juice. BMJ 2003;327(7429):1454. PMID: 14684645(70代男性、クランベリージュースを6週間、INR>50、消化管・心嚢出血で死亡。セファレキシン使用・食事摂取不良などの交絡あり)。増強側の試験: Mohammed Abdul MI, Jiang X, Williams KM, et al. Pharmacodynamic interaction of warfarin with cranberry but not with garlic in healthy subjects. Br J Pharmacol 2008;154(8):1691-1700. PMID: 18516070(健康男性12人、クランベリー前投与2週間でINR-時間曲線が30%増加。ワルファリンの濃度自体は不変で薬力学的な変化)。影響なし側: Lilja JJ, Backman JT, Neuvonen PJ. Effects of daily ingestion of cranberry juice on the pharmacokinetics of warfarin, tizanidine, and midazolam. Clin Pharmacol Ther 2007;81(6):833-839. PMID: 17392729(健康成人10人、200mLを1日3回・10日間。ワルファリンのAUC・抗凝固作用は不変、CYP2C9阻害なし)。Ansell J, McDonough M, Zhao Y, et al. The absence of an interaction between warfarin and cranberry juice: a randomized, double-blind trial. J Clin Pharmacol 2009;49(7):824-830. PMID: 19553405(ワルファリン安定患者30人、240mL/日を2週間、プラセボと差なし)。両論を併記する。
- 最終確認日
- 2026-11-03
研究の条件
研究の条件: 試験ごとに形と量が違います。影響なしの試験はジュース240mL/日×2週間(患者30人)と、ジュース200mL×1日3回×10日間(健康成人10人)。INRが上がった試験は健康男性12人で、クランベリー製剤を2週間前投与した後にワルファリン25mgを単回投与した条件です。死亡症例はジュースを約6週間飲み続けたケースで、用量は報告により約300〜400mL/日とされますが、食事がとれていないなどの条件が重なっていました。
ふだんの量では
ふだんの量では: 対照試験で影響がなかったのはジュース240mL/日程度までです。これよりずっと多い量を長く続ける場合までは確かめられていません。カプセル製品はジュースと中身の濃さが違うため、ジュースの結果をそのまま当てはめることはできません。