食物繊維 × レボチロキシン 注意(ヒトデータあり)
要約
食物繊維は、甲状腺ホルモンの薬レボチロキシンを腸の中で吸着(くっつけて取り込んでしまうこと)して、薬の吸収を下げることがヒトで報告されています。甲状腺機能低下症の方13人で、食物繊維の多い製品(ふすま、グラノーラ、サイリウムなど)を摂っていた時期はレボチロキシンの必要量が増え、繊維を減らすと必要量が減ったり、甲状腺の指標が改善したりしました。試験管内の実験でも、小麦ふすまがレボチロキシンを量に応じて吸着することが確かめられています。吸収が下がると甲状腺ホルモンの効き目が弱まるおそれがあります。レボチロキシンを使っている方が食物繊維サプリを新しく始めたり大きく増やしたりする場合は、そのことを処方医に伝え、甲状腺の検査値を確認してください。レボチロキシンは空腹時に飲み、食物繊維サプリとは時間をずらすことで対処できる飲み合わせです。公式の決まりはありませんが、安全のため約4時間あけるのが目安です。
ヒトでのエビデンス
あり(ヒトの症例集積13人と試験管内実験)
根拠
Liel Y, Harman-Boehm I, Shany S. Evidence for a clinically important adverse effect of fiber-enriched diet on the bioavailability of levothyroxine in adult hypothyroid patients. J Clin Endocrinol Metab 1996;81(2):857-859. PMID: 8636317(甲状腺機能低下症13人で繊維サプリ中止によりTSH低下または必要量減少。試験管内で小麦ふすまがレボチロキシンを用量依存的に吸着)。総説: Wiesner A, Gajewska D, Paśko P. Levothyroxine Interactions with Food and Dietary Supplements–A Systematic Review. Pharmaceuticals 2021;14(3):206. PMID: 33801406。用量情報: 症例で使われたレボチロキシンは50〜470μg/日。繊維側の量は製品により異なり、影響が出た繊維量の統一した数値は原著にない(不明)。
- 最終確認日
- 2026-11-03
研究の条件
研究の条件: 甲状腺機能低下症の成人13人について、繊維を多く摂っていた時期と減らした時期を比べた観察です。無作為化試験ではありません。
ふだんの量では
ふだんの量では: 食事に含まれる通常の食物繊維まで避ける必要はありません。問題になりやすいのは、繊維サプリをまとまった量で、薬と近いタイミングに摂る場合です。摂り方を急に変えたときは検査値の確認が大切です。