BCAA × レボドパ含有製剤 注意(ヒトデータあり)
要約
レボドパ(パーキンソン病の薬)は、腸から血液へ、血液から脳へ入るときに、大きな中性アミノ酸(アミノ酸のうち大きくて電気的に中性な仲間)を運ぶ共通の輸送の仕組みを使います。BCAA、とくにロイシンやイソロイシンを一度に多く摂ると、この輸送で競合(取り合い)が起こり、レボドパが脳へ届きにくくなって、ふるえやこわばりが強まったり、薬の効き目が不安定になる(オン・オフ現象=効く時間と効かない時間が揺れる状態)おそれがあります。ヒトの小規模な研究では、ロイシンやイソロイシンを体重1kgあたり100mg(体重70kgの人で約7g)飲むと、点滴中のレボドパの効果が弱まりました。また、空腸(小腸の一部)にロイシンを流し込む方法で調べたヒトの実験では、レボドパの腸からの吸収が約40%から約21%へ下がりました。レボドパを使っている方は、BCAAサプリを自己判断で始めず、飲むタイミングも含めて処方医・薬剤師に相談してください。レボドパの添付文書でも、タンパク質やアミノ酸の多い食事との関係が知られています。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせです。ただし、ずらす間隔の公式な数値は出典にはなく、安全のため約1〜2時間あけるのが目安です(あくまで目安で、主治医の指示が優先します)。
ヒトでのエビデンス
あり(ヒトでの小規模な薬物動態・臨床検討)
根拠
Nutt JG, Woodward WR, Hammerstad JP, Carter JH, Anderson JL. The "on-off" phenomenon in Parkinson's disease. Relation to levodopa absorption and transport. N Engl J Med 1984;310(8):483-488(パーキンソン病患者9人。高タンパク食でレボドパの最高濃度が29%低下し吸収が34分遅れた。フェニルアラニン/ロイシン/イソロイシン100mg/kgの経口投与で点滴レボドパの効果が弱まった。グリシンとリシンでは影響なし)。Lennernäs H, Nilsson D, Aquilonius SM, Ahrenstedt O, Knutson L, Paalzow LK. The effect of L-leucine on the absorption of levodopa, studied by regional jejunal perfusion in man. Br J Clin Pharmacol 1993;35(3):243-250. PMID: 8471400(健康成人7人、空腸灌流でロイシン40mMがレボドパの吸収を40±19%から21±15%へ低下)。BCAA製品そのものを使った試験ではなく、構成成分であるロイシン/イソロイシン単独のヒトデータである。
- 最終確認日
- 2026-11-03
- 確認方法
- AIによる検証のうえ薬剤師が一括承認
研究の条件
研究の条件: Nuttらの研究ではロイシン/イソロイシン100mg/kg(体重70kg換算で約7g)の単回量が使われました。Lennernäsらの研究は腸の一部に直接流し込む特殊な方法で、通常の飲み方とは条件が違います。
ふだんの量では
ふだんの量では: 市販のBCAA製品は1回2〜5g、1日5〜20g程度が多く、研究で影響が出た単回約7gという量に届く製品もあります。食事のタンパク質にもBCAAは含まれますが、サプリは短時間にまとまって入る点が違います。レボドパ使用中は量にかかわらず、まず相談してください。