モリブデン × 銅 大きな影響なし(ヒトデータあり)
要約
モリブデンと銅は「拮抗(互いの働きを打ち消し合う関係)」が動物、特に反すう動物(牛や羊)ではよく知られています。モリブデンが多い牧草地では銅不足が起こり、銅を補うと回復します。ただしヒトでは話が違い、若い男性にモリブデンを1日22μgから1490μgまで段階的に取ってもらった研究では、銅の代謝に影響は見られず、有害な変化もありませんでした。ふだんの食事やマルチ系サプリに含まれる量(数十μg程度)で、銅が不足する心配はデータ上小さいと言えます。ただし、モリブデンをmg(ミリグラム)単位で大量に取るような使い方は別で、銅の治療薬として使うテトラチオモリブデン酸という全く別の薬の話と混同しないでください。服用時間をずらすことで対処できる飲み合わせではありません。
ヒトでのエビデンス
あり(ヒトで1490μg/日まで銅代謝への影響なしを確認した代謝研究)
根拠
ヒトデータ: Turnlund JR, Keyes WR, Peiffer GL. Molybdenum absorption, excretion, and retention studied with stable isotopes in young men at five intakes of dietary molybdenum. Am J Clin Nutr 1995;62(4):790-796. PMID: 7572711(若い男性4人に22〜1490μg/日を各24日間。吸収率は88〜93%で、どの量でも有害な影響はなく、余分は尿へ排出された)。銅代謝への影響なしとするまとめ: Turnlund JR. Dietary Molybdenum. In: Trace Elements in Man and Animals 10(1490μg/日まで銅代謝に影響なし、銅摂取1.62mg/日で状態が保たれた)。動物での拮抗: 反すう動物では硫黄とモリブデンからできるチオモリブデン酸が銅と結びつき銅不足を起こす(Alvarez HMら Science 2009、テトラチオモリブデン酸と銅の結合の構造研究。ヒトの食事量の話ではない)。米国の食事摂取基準では推奨量45μg/日、上限量2000μg/日(Institute of Medicine 2001)。銅サプリとの併用自体を調べたヒト試験はなく、上記はモリブデン摂取量と銅状態の関係を示すヒトデータに基づく。
- 最終確認日
- 2026-11-03
- 確認方法
- AIによる検証のうえ薬剤師が一括承認
研究の条件
研究の条件: 健康な若い男性4人に、モリブデン22・124・224・467・1490μg/日という5段階の食事を各24日間続けてもらった安定同位体試験です(Turnlundら 1995)。人数は少ない研究です。
ふだんの量では
ふだんの量では: モリブデンの推奨量は45μg/日、上限量は2000μg/日です。市販では単独製品はほぼなく、マルチビタミン・ミネラル製品に数十μg程度が配合される形が中心です。その量は銅への影響が見られなかった範囲(1490μg/日まで)よりはるかに少なく、通常の使い方で銅との拮抗を心配するデータはありません。