ブロナンセリン経皮吸収製剤 × アドレナリン 禁忌
要約
アドレナリン(心臓の働きを強める薬。ボスミンという名前で使われます)とこの薬を一緒に使うことは、原則としてできません。この薬がアドレナリンの血管を収縮させる働きを邪魔するため、アドレナリンの作用が逆転して、重い血圧低下を起こすことがあります。ただし、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)の救急治療でアドレナリンを使う場合と、歯科で麻酔に使う場合は例外とされています。救急の場面では、この薬を使っていることを医療者に伝えましょう。自己判断で中止・変更せず、気になったら処方医・薬剤師に相談を。処方には、添付文書には書かれていない、その人の状態に合わせた理由があることも多いです。
ヒトでのエビデンス
なし(添付文書§2.3・§10.1の禁忌指定に基づく)
根拠
ロナセンテープ20mg・30mg・40mg(製造販売元: 住友ファーマ株式会社)の添付文書、2024年10月改訂・第9版を確認した。用法は通常、成人にブロナンセリンとして40mgを1日1回貼付し、最大80mgまで。本剤は主として薬物代謝酵素CYP3A4(薬を分解する酵素の一つ)で代謝される(§10冒頭・§16.4.3)。§10.1(併用禁忌)はアドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域の麻酔に使用する場合を除く)と、CYP3A4を強く阻害する薬剤群。§10.2(併用注意)はアドレナリン含有歯科麻酔剤、中枢神経抑制剤・アルコール、ドパミン作動薬、降圧薬、CYP3A4阻害作用を有する薬剤、CYP3A4誘導作用を有する薬剤。§16.7に、本剤は貼付のため初回通過効果(飲み薬が肝臓で最初に分解されること)を受けず、CYP3A4阻害剤・誘導剤併用時の薬物動態への影響は経口剤より小さいと考えられるとある。 §2.3でアドレナリンを投与中の患者は禁忌(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)とされ、§10.1(併用禁忌)にもアドレナリンが名指しされている。機序は「アドレナリンはアドレナリン作動性α・β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される」とある。
- 最終確認日
- 2026-11-02