亜鉛 × 乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ) 大きな影響なし(ヒトデータあり)
要約
牛乳やヨーグルトのカルシウムが亜鉛の吸収を大きく下げるのではないかと心配されることがありますが、同位体を使ったヒト試験では、食事から摂るカルシウムの範囲(1日約700〜1800mg)では亜鉛の吸収に有意な低下はみられず、カルシウム補給(1日1000mg、1年間)でも血中の亜鉛に影響しなかったと報告されています。一方で、カルシウムのサプリメントを1回600mgと多めに食事と一緒に摂った試験では、その食事からの亜鉛吸収が下がったとの報告もあります。ただし牛乳やヨーグルトに含まれるカルシウムの量(コップ1杯で約200〜330mg)はその条件とは異なり、乳製品そのもので吸収が下がったという一貫した証拠はありません。カルシウムとフィチン酸(玄米や豆類に多い成分)が重なっても、ヒト試験では吸収低下が悪化することはありませんでした。むしろ植物性中心の食事に牛乳やヨーグルトを加えると、亜鉛の利用が上がったという報告もあります。このため、通常の量の乳製品との組み合わせで、わざわざ間隔をあける必要はありません(間隔が問題になりうるのは、高用量のカルシウムサプリメントを同時に摂る場合です)。
ヒトでのエビデンス
あり(有意な影響なし)
根拠
Lönnerdal B. J Nutr. 2000;130:1378S-83S(PMID: 10801947、レビュー): カルシウム追加で亜鉛吸収に有意差なし(Lönnerdal 1984、Spencer 1984、Dawson-Hughes 1986)、長期補給でも影響なし(Yan 1996)/Hunt JR, et al. Am J Clin Nutr. 2009;89:839-43(PMID: 19176739): カルシウムはフィチン酸による阻害を悪化させない/Rosado JL, et al. J Nutr. 2005;135:465-8: 植物性食事に牛乳・ヨーグルトを加えると亜鉛の利用能が上昇/Wood RJ, Zheng JJ. Am J Clin Nutr. 1997;65:1803-1809(PMID: 9174476)/Yan L, et al. Br J Nutr. 1996;76:821-831(PMID: 9014651)/Dawson-Hughes B, et al. Am J Clin Nutr. 1986;44:83-88(PMID: 3014855)
- 最終確認日
- 2026-10-30